- 北海道えりも町の情報
- 人口:4,881人(2017年3月31日現在)
- 総面積:284.00平方km
- 福祉バス
- 中央保育所送迎バス
- 庶野保育所・小学校送迎バス
- 清掃センター
- 焼却灰運搬
- 給食配送
- スクールバス
- 笛舞小学校給食業務
- えりも小学校給食業務
- 東洋小学校給食業務
- 診療所給食業務
- 中央保育所給食業務
- えりも岬保育所給食業務
- 庶野保育所給食業務
- 社会福祉法人えりも福祉会 特別養護老人ホーム やまと苑給食業務
- 福祉センター管理業務
- 高齢者センター管理業務
- 高齢者福祉寮管理業務
- 斎場管理業務
- クリーンセンター管理業務
- 風の館管理業務(4月~11月、3月)
- えりも小学校事務業務
- 東洋小学校事務業務
- えりも岬小学校
- 庶野小学校事務業務
- えりも中学校事務業務
- 町民体育館・第2体育館清掃業務
- 公衆トイレ清掃業務
- 風の館清掃業務(4月~11月、3月)
- 中央保育所清掃業務
- えりも岬保育所清掃業務
- 庶野保育所清掃業務
北海道の中央部から南へ2,000m級の山々が連なる日高山脈。この山脈が太平洋にぶつかる、北海道の東南端にあるのが、えりも町です。風速10メートル以上の風が、1年の半分以上吹く「風の町」としても知られています。人口は約4,800人のこの町から、町の業務のトータルアウトソーシングを受けているのが私たちシダックスです。2004年、町立の学校や観光施設や温浴施設、斎場などの施設運営、スクールバスや福祉バスなどの車両運行、保育所や小中学校、診療所の給食業務、体育館や公衆トイレなどの清掃業務を一括して受託。以来、約40の業務を私たちが担うようになって14年目を迎えます。隣接する町へは距離も遠く、海岸沿いに国道が一本あるのみ。その道がもし通行止めとなれば、陸の孤島となってしまう。町民の命と健康を守る診療所や、子どもたちを育てる保育所や学校も、大きな自治体に頼ることなく、自分たちで持って運営するという方針で町は長年やってきました。「だからこそ、少子高齢化も見据えて、民間企業の力を借りてサービスを維持していくことを、他の自治体に先駆けて検討を重ね、決断したわけです。前々町長の時の思い切った一括での委託に、最初の頃は様々な意見がありましたが、今はこれが当たり前となり、町としても大変助かっています。多くの自治体が視察に来られ、参考にしていかれました。シダックスさんがかなり工夫して、町が直接運営するよりも大幅にコストを抑えて、頭を悩ませる難しいところを担っていただいている。町から言わなくても必要な対応をしてくれていたり、町の祭りにも出店して盛り上げてくれたりと、本当に感謝しています」(大西正紀 町長)。
まずは私たちが強みとする食の仕事。シダックスの栄養士、調理師が担っているのが、町立の3つの保育所、3つの小学校の給食です。保育所から数えれば中学校3年までの10年以上、子どもたちのお昼ご飯をシダックスのメンバーがつくっていることになります。子どもたちの成長の一端を支える、責任も喜びも大きな仕事です。働いているメンバーは、栄養とコストを考えた献立づくり、おいしくつくる調理技術、厳しい衛生管理やアレルギー対応を行うプロフェッショナルであると同時に、白いマスクや白衣、帽子のなかは、愛情あふれる、えりも町のお母さんやお姉さんたちでもあります。「地元の食材を子どもたちに食べてもらおうと工夫しています。保育所の子たちに人気なのは『鮭のちゃんちゃん焼き風』です」(栄養士 川島有嘉里)。「全校児童25人の給食をぜんぶ手作りでつくっています。グラタンもホワイトソースから手作り。ときには体力的に大変だけど、子どもたちが食べている姿を見るのが嬉しくて10年以上、続けてきました。うちの3人の子も全員この小学校で、私がつくる給食を食べてきました」(笛舞小学校 調理師 工藤由紀子)。保育所、学校だけでなく、町立の診療所の給食も受託運営し、近年は社会福祉法人の特別養護老人ホームの給食も受託しており、高齢の患者さま、利用者さまの食事もシダックスがつくるようになっています。「冬は鍋料理をつくることもあります。おいしかったよと声をかけてくださるのが嬉しいです」(やまと苑 調理師 工藤栞)。
小学校は統廃合で現在は5校。中学校は1校。遠く離れた集落から通う児童生徒も多いので、町ではスクールバスでの送迎を実施。この運行もシダックスの運転サービス士たちが担当。風速10メートル以上の風が吹くのが当たり前の通学路を、4台のスクールバスが、朝夕、子どもたちを乗せて走ります。「えりもでは強い風にバスが煽られるので気をつける必要があります。冬は吹雪で前が見えないようなときもたまにあるし、道路に鹿が出てくるのにも注意が必要」。そう語るのは運転士の植木美範(61歳)。週末や夏休み、陸上大会や部活の遠征に子どもたちを乗せていくときは、いつも試合の応援もしています。小・中学校、そして町立の高校では、学校の事務や用務員の仕事もシダックスのメンバーです。「子どもたちみんなが自分の孫に思える」と語るのは、えりも小学校の用務員を務める亀山英典(68歳)。朝いちばんに学校に来て鍵を開け、冬は暖房を入れたり除雪をしたり、夏は広い校庭の草刈りをしたり。机や椅子、校舎の修繕をしたり。先生や子どもたちからは「亀山のおじさん」と呼ばれて頼りにされています。笛舞小学校の用務員を務めるのは藤田久子(60歳)。「赤ちゃんの頃から知っている地域の子たちなのでかわいいです。うちの孫ももうすぐ1年生」。掃除や草刈り、ぞうきん縫い、学校の行事では子どもたちのもちつきを手伝ったりと教育現場を支えています。孫世代の子どもたちのために、第二、第三の仕事人生を頑張る60代のシダックスメンバー。3月の卒業式のときは、みんな目頭を抑えています。「小中とずっと乗せてきた子たちに、お世話になりましたなんて言われたら、もうじんとして言葉が出てこない」(植木美範)。厳しい寒さにも強い風にも負けず、一緒に過ごしてきた毎日は、仕事を超えた心の絆を育んでいます。
人が暮らしていれば、ゴミも出るし、トイレにも行きます。誰かがそれを処理したり掃除をしたりして、私たちの暮らしはまわっています。町にはそういう仕事もあります。ゴミ収集や清掃も私たちの仕事です。特に、えりも町は、コンブ漁の漁師さん、コンブを干す作業をする人のため、海の近くに公衆トイレが多くあります。全19カ所の町の公衆トイレの清掃を全て行っているのが、小林博子です。軽自動車に掃除用具を積んで、町中をまわっています。「この仕事が楽しいです。公衆トイレは町の人だけじゃなく、観光に外から来た人も使うもの。えりもが汚い町だと思われたらいやなので、多く使われるところは多めにチェックして、きれいに保つようにしています。きれいにするのに時間がかかって、海辺のトイレからなかなか私が出てこなかったときは、私が倒れているんじゃないかと近所の人が声をかけてくれたり、お茶を出してもらったこともありました」。そして、町立の斎場の運営という仕事。73歳の三谷千人武が、経験が必要な火葬の仕事を担っています。「年齢や性別、亡くなられた病気によってもご遺体の状態は違うので、火の加減を工夫して、きれいに焼いて差し上げて、少しでも多くのご遺骨を持って帰っていただけるように努力しています」。人には見えないところで、どうしたらもっとよくできるだろう、町の人を喜ばせられるだろうと、自分の仕事と向き合っている人間たちがここにいます。
広範囲に渡るえりも町の受託業務の全体をマネジメントしているのが、シダックスのえりも営業所長、佐藤淳一です。「毎日コツコツとサービスを改善しながら現場で働いている社員がうちの自慢です。もっと社員の働きやすい環境をつくるため、町と話し合ったり、何か問題があれば駆けつけて対処しています。人が足りなければ、大型バスの運転もしますし、調理場に立ったり、ゴミ収集も斎場の運営も手伝います。任されている以上は、穴をあけるわけにはいかない。いつのまにか何でもできるようになりました」。そう語る佐藤は、もともとは航空自衛隊の襟裳分屯基地の隊員でした。54歳の隊の定年を迎え、今の仕事を始めました。佐藤以外にも、自衛隊を退職した後、シダックスのえりも町での仕事を担っているメンバーが何人もいます。「自衛隊の方に、町の業務で第二のキャリアを歩み、えりも町に残っていただけることは町にとっても嬉しいこと」(大西正紀町長)。観光もえりも町の産業の柱。冬は気候の厳しさから閉館しますが、春から秋にかけては「風の館」という施設が襟裳岬に開館。海に伸びる岩礁にアザラシが見えるこの観光施設も私たちが受託運営しています。近年は、豊似湖という山の中の湖がハートの形をしていることで注目され、ヘリコプターで湖の上空を遊覧飛行する企画もスタート。また、町を吹く強い風を活かして大規模な風力発電を行う企業や、広大な土地を活かした畜産会社など新たな産業振興も進むなど、えりも町には今、いい風が吹いています。シダックスのえりも営業所でも新卒の社員採用を始め、若い人たちにも町で働いてもらおうと呼びかけています。「えりもで働いて、家族を持って欲しい。この会社があるから地元に残ると若い人たちが言ってくれるようにするのが夢です。」(佐藤)。